40代・50代で持たない暮らしをお勧めする3つの理由と注意点

片付けのメリット

40代・50代は、体力や記憶力の低下に、自身の家族の健康、さらには、親の介護など、抱える問題も重なることなどから「思うように時間を作ることが出来ない」「体力的に動くのが難しい」と言うように感じる事も多くなります。

また、年を重ねるごとに考え方の柔軟性を失っていく事を考えると、まだ、動けるうちに、柔軟に考えることが出来る今、持ち物を見直して、不用なモノを手放し、これからの時間を自分のやりたいことに使ったり、ゆったりした環境を作るには良いチャンスだと思います。

その具体的な3つの理由をご紹介します。

1つ目は、 60代以上だと体力・気力の問題で片付けが難しくなる

私自身の経験ですが、実家の片付けを5回経験していますが、その中で感じるのは、年を重ねてからの片付けは、体力的にも精神的にも、負担が大きい中で、気力の減退も重なるために、高齢の私の母は、「もう片付けをやめる」と途中で放り出すようなことを言ったり、「これを続けていては死んじゃう」と何度も弱音を吐いていました。

自分に必要なモノを選び取るというのは、実はとても疲れる作業です。また、数十年ため込んだモノが、多ければ多いほど、その負担は、大きくなっていきます。

このような片付けによるモノ選びや種類を分ける事、置き場所を決めることなど、年齢を重ねれば重ねる程、大変な作業になってきます。

そんな大変になる事が分かっている片付けをしないまま、60代を迎えてしまうのは、誰もが避けたいと考える事ではないでしょうか。

 

2つ目は、自分の時間を自分のために使うため

子育てもひと段落した40代・50代。今まで仕事や家族のために、自分を後回しに生きて来たけれど、そろそろ自分のやりたいことをやるために、時間を使いたいと思う年代ではないでしょうか。そんな時間の使い方をするためにも、自分の抱えている不要なモノを手放していく事は、大事な事ではないでしょうか。

多すぎる不要な持ち物を抱えていたら、「何処にどんなふうに収納したらよいか?」「いくつ持っているか?」「何を持っているか?」と常に思いを巡らせることにもなり、体力も気力も失われることになってしまいます。ですから「片付けたい」「片付けなきゃ」と言う気がかりから離れるためにも、片付けを終わらせて、心の余裕を作り、自分の時間を自分のために使うためにも、興味があって今までできなかったことをやるためにも、自分に必要だと思う持ち物だけに厳選し、ゆったりと過ごせる環境に変えていけたら良いのではないかと思います。

 

3つ目は、自分や家族をラクにするため

40代・50代になると、体力の限界やこれからの時間の貴重さを意識し、出来るだけ自分の機嫌を保ち、穏やかでいたいと感じる方も多くなっていきます。それは、モノのことよりも、自分のエネルギーや時間を自分のために使いたいという気持ちの表れではないかと思うのです。

そのために、出来るのは、自分の扱えるモノの量を持つ事です。人が扱えるモノの量は限られていますので、持ち物の量を減らしていく事。例えば、お鍋は、使うモノだからと、たくさん持つのではなく、さまざまな用途に活躍するモノ、扱いが楽なモノ1つに絞るというように、持ち物を厳選していく事で、収納場所はコンパクトになり、それに伴い、移動範囲も狭くなるので、自分の家事もラクにしていくことが出来ます。そうなると、体力も温存でき、自分の好きな事をやり、気力も保つことが出来、結果、自分の機嫌を保つ事も出来るのです。

また、これからの自分は今のように活発に動けなくなる可能性を考えると、持ち物を減らしていく事で、残った家族に片付けの負担を背負わせることも無くなると思います。年齢を重ねての片付けは、自分自身でゴミを捨てることも難しくなり、ゴミ捨てさえ、子供に負担をかけることになり、心を痛めるなんてこともありますから、残る家族のラクのためにも、持たない暮らしはとても大事な事なのです。

これら3つの理由を基に、持たない暮らしに変えていくための「お勧めする注意点を5つ」をご紹介します。

1. 先延ばしにしないこと

収納の奥から、大量に出てくるモノたちを見た実家の片付け。

「面倒だから、後でやろう」「もしかしたら、使うかも」と考えて、保管され続けたのだろうという事を感じる光景ばかりでした。

また、「自分が死んだ後に、好きなように片付けて」と自分でモノを捨てることを避ける方も多い、実家の片付けでの苦悩。

こんな状況を見てきた私は、片付けを先延ばしにする事のリスクを感じます。

例えば、先延ばしにしてしまった時間とともに、持ち物も、どんどん増えてしまう、それを片付けるためには、多くの時間が必要になる、体力低下した自分にとっては、ものすごく辛いものになるのです。そうなってからの片付けは、時間的にも、体力的にも、想像を絶する大変な作業になります。

そして、貴重な時間を「片付けのために」使う程、もったいない事は無いと思うのです。片付けをすでに終えていたならば、その時間を、もっと有意義なことに使うことが出来ただろうと後悔することもあると思うのです。だからこそ、片付けを先延ばしにせず、今から始めていきませんか?

 

2. 一般的な片付けの基準で考えず、自分の基準で考える

持ち物を厳選する際、「1年使っていないモノを捨てましょう」なんて、一般的な片付けのルールを聞いた事は無いでしょうか?でも、1年使っていようといないと、自分にとって残しておきたいモノはあるでしょうし、1年に1回しか使わないけれど、1回は使うから、捨てる基準には当てはまらないと考えてしまうと、思うようにはモノを厳選できないかもしれません。

このように「モノを中心に考えた」ルールに従う事になると、減らすことは難しいのではないかと思うのです。

片付けでモノを減らすのは、自分の快適な環境を作るための事です。それを実現するために、「それを持つ事で、煩わしいと感じないか?」「無い方が、ラクではないか?」と言う自分自身の事を考えていく事をお勧めします。

モノを中心として、持つか持たないかを考える事よりも、自分を中心にして、「自分自身にとって、それがある事で、心地よい暮らし方が出来るのか?」を考えてものを選び取る事を繰り返すことによって、40代・50代の持たない暮らしが実現できるのです。

3. 今を基準に残すモノを選ぶ

モノを減らす時に

「今後、使うかもしれない」

「捨てたら、また買うのはもったいない」

「同じものは、手に入らない」

なんてことを考えてしまいませんか?

ですが、これから先の自分がそれを本当に必要とする機会があるのだろうか?

それを使いたいと思う自分は、この先、存在するのだろうか?

と考えた時、確かな答えは、誰にも言えないと思います。

 

以前の私は、気に入った洋服を見つけて、買ったものの「いつか着よう!」と考えて、クローゼットに放置することがよくありました。

そして、ある時、その洋服を手に取ると、「着よう」という気持ちにはなれなかったのです。

また、捨ててしまって、後で、「取っておけばよかった」と言う事があってはいけないと

捨てずにとっておいた洋服も、気付くと、着る機会もないままに放置された状態になっていました。

人は、常に変化しますから、今、好きでも、後では好きでないとか、今は似合うけれど、後では似合わないなんてこともあるのです。それは、自分にとっての「旬が過ぎた」という事だと思うのです。また、「もしも」と考えて、残すモノは、もともと、今、着る気持ちはなれない洋服であり、今、手が伸びない洋服は、手が伸びない理由があるはずなのです。だから、もしも、と思ってとっておいても、着る機会はやってこないものです。

そんな風に考えていくと、これから、何を必要とし、何を好きになるかも分からないモノを、持ち続けることを選んでしまうと、不用なモノを減らして、快適な暮らしをしたいという思いを実現する事を、難しくしてしまうのではないかと思うのです。

人生後半の暮らしや時間を充実させるためにも、「もしも」と考える事よりも、不用なモノを手放してしまい「持っていない」となった時には、「持っていないから、あるモノで何とかしよう」「無いから使わない」と考えられる自分に変わっていきませんか?

「あ~捨てちゃった」「あ~、あれがあったらな~」と思う時には、自分の決断を失敗したと感じるのではなく、その時は、「自分には不要だと判断したのだ」と、受け入れていくことが出来れば、ラクな気持ちで片付けを進めていけるのではないでしょうか。

4. 「こうすべき」や「ねばならない」を捨てる

片付けのサポートで感じるのは、40代・50代の方々は、より頑固になった「思い込み」に苦しめられているなと言う事です。「こうすべき」という社会の風潮の中で育ってきた私たちは、知らぬ間に刷り込まれた意識があり、それが、自分達の選択肢を狭め、苦しめていると感じます。

片付けサポートでは、たくさんの片付けに悩む40代・50代の方々とお話をしてきましたが、「このやり方に従うべき」「これは使わなければならない」と言った考えから、自分のより良いモノコトを選び取る判断が出来なくなっていると感じる事が多いのです。

例えば、タオルは洗面所にしまうものと、考えてしまう。そうすると、子供がプールで使用するためのタオルまでも、洗面所が収納場所と考えてしまい、結果、収納場所は、タオルが収まらない状態となり、「どうして収納に収まらないのか?」と悩んでしまうのです。

ですが、洗面所にタオルを置くというのは、洗面所で使うモノだから、そこに置き場所を作るのだと考えることができれば、洗面所では、使わないプール用のタオルだから、洗面所に置く必要はないという考えに至るのではないでしょうか。

「ねばならない」「こうするもの」と言ったことにとらわれず、もっと柔軟に物事を考えることが出来るようにするためにも、「自分の考えは、本当に正しいのか?」、「思い込みではないのか?」と自分の考えを疑う事をお勧めします。それが、出来るようになると、選択肢を増やすことが出来、思い込みを捨てることが出来るようになります。

5. 自分の大事にしたい事を考える

自分の事を二の次に、家族のために奔走してきたことで、自分を置き去りにしてきた40代・50代の私達。 だから、いつの間にか、自分自身が、何が嫌いで、何を好きで、何を優先するのか?という本来、良く知っているはずの自分の事さえも、忘れてしまっているのです。

多くの40代・50代の方の片付けの悩みは「何を捨てればよいか分からない」というものです。その疑問は、多分、自分の事を棚上げしてきた結果なのではないかと思うのです。

自分の好きな事や重視したいと思う事が明確にならないと、モノを厳選する事は難しくなりますから、片付けを通して、自分に興味を持つ事をお勧めします。

以前、片付けの作業にお伺いしたお客様は、「キッチンでの作業が、憂鬱でならない」というのです。その理由を考えながら、片付けを進めていくと、引き出しには、大量に菜箸があるために、欲しいモノを手に取る時には、ガチャガチャと引き出しの中を探す作業が発生するのです。そのことが、苦痛の原因になっていたことに、お客様は気付かれました。

その結果、自分が嫌だと感じる原因が分かったために、大量の菜箸を見直して、自分がストレスない量に減らすことで、キッチンでの作業が楽しいものに変わったのでした。

この場合、たくさんの菜箸を持つ事よりも、少ない量を持ち、スムーズに取り出す事や戻すことの方が、自分にとって大事だと思っているという事を知ることが出来たという事です。

今まで、気にもしていなかった、日々の無意識の行動や感情に目を向け、自分が何を大事に考えているのか?に興味を持つ事で、納得できる持ち物の選択ができ、結果、自分の機嫌をとる事にもつなげていけるのです。

まとめ

40代・50代の私たちにとって、自分の時間やその使い方はとても貴重ですよね。それを、満足いくように使うには、自分を煩わす不要なモノを手放す事です。必要だとため込んでいたモノも、たくさんの人生経験から、そんなに持っていなくてもいい、自分には、本当は不要なモノだと判断できる年代でもありますので、その「ものさし」を使って、身軽に楽に、これからの時間を充実したものにするためにも「持たない暮らし」に変えていきましょう。