「片付けのプロに丸投げ」では、心地よい部屋に辿り着けない

片付けマインド

 

「以前、片付けの依頼をしたけれど、良い状態を維持できない」

「捨てたくないのに、捨てた方が良い」と言われた

「片付けてもらったのに、しっくりこない」

以前は、「片付けを人に頼むなんて」と言う方も多かったと思いますが、今では、片付けをプロに依頼するサービスやお任せするサービスも増え、自分自身の負担を軽減することを考える方も多くなってきたように感じます。ですが、それに比例して、片付けに悩む人は、減っただろうか?と言うと、そうではないように感じています。

そして、片付けに悩む多くの方々のお話を聞いていても、以前、片付けのプロに依頼したことがあったが、結局、上手くいかなかったという方の声を聞く機会が多いと感じます。

 

片付けがうまくいかない理由をひとことで言うと、「人によっての心地よさ」が異なるためです。

沢山のモノを持っている方が、安心する、モノがない方が心地よい、ここにあった方が良い、ここにあると使いにくい、と言うように、人それぞれ快適さは異なるのです。

そして、なぜプロに依頼しても、心地よさの実現は難しく、片付けがうまくいかないのか?についてお話をさせていただきます。

 

片付けのプロには、あなたの心地よさが分からない3つの理由

いろいろな知識を持っている片付けのプロであっても、人それぞれの心地よさを全て理解する事は、難しいのではないかと思います。その理由は3つあります。

【理由1】時間制限のある片付けのサポートの中では、それぞれの心地よさを十分理解し、それを実現させることは、不可能に近いということ。

【理由2】お客様自身も、思い込みや自分の心地よさ鈍感になっている事に気付いていないため、それをプロに伝えきれないこと。

【理由3】片付けのプロ自身も、「モノを少なくする事は良いことだ」「片付けの基本に従えば、上手くいく」という思い込みがあること。

3つの理由の1つずつについて、詳しくお話をしていきましょう。

【理由1】時間制限のある片付けのサポートの中では、それぞれの心地よさを十分理解し、それを実現させることは、不可能に近いということ。

私達が片付けのサポートに伺う時には、3時間、5時間など、ある一定のサポートをするための時間をいただきます。その時間の中には、お客様のご要望をお聞きする時間やどんな暮らし方をされているのかを聞かせていただく時間も含まれます。そして、お話を伺った後、ご要望に応えるべく、お客様と一緒に残すモノ、残さないモノを決めながら片付けを進めていくのです。

そんな短時間の中で、お客様の本来の心地よさやこうしたいという本当のご要望を聞き取る事や様々な感覚を持っている人の話すニュアンスさえも、聞き取る事は、不可能に近いのではないかと思うのです。

例えば、お客様の解決したい問題が「溢れる衣類を収納場所に収まるようにしたい」と言う事だったとしましょう。そして、それを実現するために、片付けのプロは、衣類を減らす事や畳み方を説明し、しっかり収納に収まるように整えていくでしょう。でも、お客様は、「溢れる衣類を畳んだり減らしたりせずに、収納場所に収まるようなテクニックを使って欲しい」と言う意味で話していたとしたら、お客様の心地よさを作ることは出来なかったという事になります。

人の経験や考え方は、さまざまで、自分が受け取った言葉の意味と人が伝えたい事とは、いつも一致するとは限りませんから、そこを一致させるためには、短時間でのやり取りでは、難しいのです。

 

【理由2】お客様自身の思い込みや自分の心地よさ鈍感になっているために、それをプロに伝えきれないこと。

40代50代は、自分の事を棚上げして生きてきたこともあり、自分自身でも「自分にとっての快適な状態」を忘れてしまっている事も多くなっています。そんな中で、自分の心地よい環境にするために「どんな状態が心地よいのか?」「何を解決したいか?」という自分でも気付かない事を、人に伝える事は不可能だという事です。

例えば、片付けのレッスンの中で、「よく見る料理本がリビングの本棚に置いてあって、面倒には感じてはいませんか?」と質問をすると、「確かに面倒です」と返事をいただくことが沢山あります。それは、自分の中で「面倒」だと感じている事にも気付かない証拠ではないかと思うのです。

また、お客様自身が「モノが少ない部屋にすることが片付けだ」「そうなるのが正解だ」と言うような思い込みがあるために、そうしなければならないという事で悩んでいる方も多いのです。そういった悩みを片付けのプロに話をすれば、片付けのプロとしては、その悩みを解決する方法を考えて提案することになります。ですが、本来のお客様の悩みは、言葉で表面化された事の奥底にあるものだと思うので、表面化された言葉の中の問題をクリアする事では、根本的な解決には至らないのです。

例えば、白い収納ボックスを並べた収納が片付けのゴールだと思っているお客様から、それらを使っての片付けを依頼されたとします。そこで、お客様の依頼通りに、それらを使って、片付けをすれば、その時のお客様は満足をされるでしょう。ですが、そこに収めることが本来のお客様にとっての「快適な状態でない」としたら、どうでしょうか。そのうち、リバウンドしてしまう事になってしまうのではないでしょうか。そうならないためにも、自分自身が、「どうすることが自分の心地よい状態なのか?」「何を大事に考えて、何はやりたくないと感じているのか?」を理解することが、一番、大事な事ではないかと思います。

 

【理由3】片付けのプロ自身も、「モノを少なくする事は良いことだ」「片付けの基本に従えば、上手くいく」という思い込みがある事。

片付けの仕事をしている方々は、今まで習ってきた片付けの知識や経験から「こうすればいい」と言う自分のやり方と言うのも持っています。そうした事を使って、さまざまなケースに対応して、片付けの問題を解決してきています。ですが、その事が、本当のお客様の問題を解決するための妨げになっている事や新たな問題を生んでいるという事に気付くことが、難しくなっていると感じるのです。

お客様の片付けレッスンの際のお客様の声としてお聞きすることが多いのが、片付けのプロを依頼して、片付けをしたけれど、「これは捨てた方がいい」「これはココに置いた方がいい」と指示をされることが多く、それがこれから自分が維持できる方法かどうかも分からない中で、指示に従う事になる。もし、それに従わないければ、片付けは進まないので、アドバイスを受け入れて、暮らしてみたけれど、上手くいかなくて困ったというものです。

片付けのプロとしては、さまざまな経験から、「これがいい」と思う事もありますが、それがどなたに対しても、万能であり心地よさにつながるわけではないという事を念頭に置く事は大事な事だと思います。その反面、お客様自身でも、片付けのプロに頼りすぎることなく、自分自身で気付かない「自分の心地よさって何か?」「それを実現するためには、何が出来るか?」を考えていく事が大事なのではないかと思います。

片付けのプロの頼りすぎることなく、自分の心地よさについて考えてみよう

片付けのプロに依頼して、片付けをすることも1つの方法ではあります。ですが、人それぞれの感覚の違いや個々に持つ「正しさ」がもとで、片付けを難しくしてしまう事もありますから、片付けのプロに頼りすぎることなく、まずは、自分自身の片付けで解決したい事を明確化して、そのために何をすべきかを考えた上で、迷ったときには、指示に従うというばかりではなく、たくさんの選択肢の中から、自分に合う方法を選ぶことが出来るような片付けが出来ると良いのではないでしょうか。もしも、選択肢が見つからずに困った時には、いつでも、サポートをさせていただきます。